一見すると、関連性がまるでなさそうな台湾時代のきらきらラブコメ作品からまさか10年以上の時を経て、2024年放送の『正直不動産2』につながるとは。こんな連想ゲームが可能なのも、ディーン本人が見据える過去と未来がクロスするダイナミックな体験じゃないか。ダイナミックなのは、時を隔てた作品間の類似だけではなく、ディーンその人の存在そのものも。御曹司からクリエイティブ・ディレクターまで、カリスマ的雰囲気を漂わせてきたディーンは、2015年放送のNHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』で五代友厚を演じたことをきっかけに日本のお茶の間にも浸透し、日本ラブコメドラマの決定版『ダメな私に恋してください』(TBS、2016年)や『シャーロック』(フジテレビ、2019年)など、エキセントリックな役柄を繰り返し演じてきた。
役柄は現実離れしているにも関わらず、ディーンの存在感は、全然非現実的にはならない。それどころか、むしろなぜかリアリティーすらある。これをひも解くためには、台湾、香港からさらにさかのぼる必要がある。我らが“おディーン様”は、元々海外志向のお方。高校卒業後に渡ったのが、ご多分にもれず夢のエンターテインメントの国アメリカだった。じゃあ最初から華やかなショービズの世界にどっぷりつかるかというと、そうじゃない。メジャーばかりが華じゃないとばかり。シアトルのクラブシーンに飛び込んだ。
飛び込みで披露したのが、まさかのラップだったという事実。ぼくらが知るディーン・フジオカの史実は、ラップから語られるべきなのだ。ラップは、ヒップホップを構成する要素のひとつ。飛び込みであれなんであれ、即興的なパフォーマンスは、ストリート感覚に裏打ちされてなきゃ話にならない。つまり、ディーンの根幹にあるのは、実は、こうしたストリート精神のリアリティー。アメリカ時代にさかのぼることで見えてくるルーツがある。このルーツがあるから、台湾、香港、さらには日本でのエキセントリックな俳優活動にリアリティーが担保されていることを再確認することで初めて見えてくるものがある。
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