HOLLYWOOD, CALIFORNIA - FEBRUARY 09: In this handout photo provided by A.M.P.A.S. Best Picture Award winners for "Parasite" pose onstage during the 92nd Annual Academy Awards at the Dolby Theatre on February 09, 2020 in Hollywood, California. (Photo by Matt Petit - Handout/A.M.P.A.S. via Getty Images)
さて、本作の主要舞台は、冒頭でふれた通り高速鉄道の車内だ。
ファンドマネージャーのソ・ソグ(コン・ユ)がまだ幼い、でもしっかり者の娘スアン(キム・スアン)を連れてプサン行きの列車に乗る。発車寸前、倒れ込むように乗車してきた女性客が、何やらデッキでもだえ苦しむ。急病人だと思った乗務員が駆けつけると、その彼女に襲い掛かる。そしてあっという間に、ゾンビが2体に増殖する。
物語の発端から展開まで、どんなテコの原理を使っているのか、不思議と無理なく軽々と進められていく語り。ヨン・サンホ監督の手際よい演出もさることながら、脚本を担当したパク・ジュスクとジョースーク・パークのドラマツルギーもなかなかのもの。ここからおよそ2時間の間、一瞬たりとも画面から目を離せないようにする。
目が離せなくなる理由はもちろん主人公のコン・ユによるところでもある。裕福な金融マンを演じるにあたり、隙のなさ、清潔感のある佇まいが完璧に印象づけられる。ゾンビ以上に恐ろしいくらいの折り目正しさだ。もうほんとうに、あのスーツ姿のコン・ユをカッコいいとだけ言っていたい気分なのだが。
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