(C)2023「ヴィレッジ」製作委員会
ある日、優は、現場の片隅に穿った穴の奥から不気味な音を聞く。穴にしゃがみこんで耳を傾ける。そこへ後輩が来るが、彼には聞こえない。優にしか聞こえないこの音の正体とは。
さらに、村の山の景色を見た修作の弟で、刑事の大橋光吉(中村獅童)が言う、「異様だよ」も怪しく響く。優だけが、この魔界のような村でただひとり、まともな感覚を持った人間なのか。いや、彼は劣悪な状況を決して好転させようとはしてないない。あくまで沈黙を決め込み、変化することを諦めている。ただ、他の村人とは何かが違う。だから、穴の中の声が、彼にだけ聞こえた。
「羽衣」や「邯鄲」など、物語全体に関わる演目が舞われることで、優の過去が明かされていく。昔は能を舞っていた優は、能の世界(異世界)と現実を行き来する異能の人。そして優を演じる横浜もまた、異界を旅するがために、異能の俳優となった。
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