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映画『ゴールデンカムイ』大谷亮平、「今思うと不思議な日々…」心に残る韓国時代を語る

■ リュ・スンリョンからのアドバイス

――探索中の谷垣の何が素晴らしいかと言うと、谷垣が斜面の上にいて、山﨑さん扮する佐一たちは斜面の下にいる。この高低差で視線を注ぐ大谷さんの表情です。表情そのものの素晴らしさとともに、そこからキャラクターの性格がちゃんと見えてくる。表情を作るポイントを教えてください。

(C)中居挙子

大谷:谷垣は、杉元たちに恨みがあるわけでもなく、誰かに命じられたからといって、即座に人を抹殺するキャラクターでもありません。登場人物の中では最もごく普通の人間だと思います。なので、特に演技として感情を出しているわけではありませんが、表情を作るポイント、そうですね……。

実は俳優としてのキャリアをスタートした韓国時代、とある先輩にアドバイスをもらいました。ハードな役のアクション映画で、敵のスナイパーを撃つ場面。気持ちは入れているのだけれど、技術的な部分で僕がなかなか凄みを出せなかった。苦しんでいるときに、ここをちょっと変えてみたら見え方が変わるからと、主演のリュ・スンリョンさんがアドバイスをくださいました。スンリョンさんとは2回映画を撮りましたが、そのアドバイスが未だに残っています。何かを遠くから見つめるシーンで凄みや怖みを出すときには心がけています。

――韓国でキャリアを重ねていた時代のことをもう少し教えてください。

大谷:CM撮影で日本と韓国を行き来していました。しかし、何かを学ぼうというテンションではありませんでした。それを具体的に生かそうという考えでもなかったですし、何よりこれは永遠に続くものではないと思っていました。

――俳優としての活動がですか?

大谷:そうです。韓国の芸能界での仕事が全てではなかったです。大事な20代、30代を異国で外国人として過ごすわけですから、その時その時に巡り合った役の一つ一つが、のちのち良い思い出になっていくんだろうなと思って取り組んでいました。これは自分の生き方や考え方として、日本の芸能に対してもスタンスは同じです。

――韓国と日本の作品、どちらにも出演して気づいたことはありますか?

大谷:まねようがないということです。韓国に住んでいたからこそ、向こうの国民性は似ているようで、どこか違う。韓国人であり韓国俳優だから出てくるものがあるし、日本人が無理をしてまねる必要はないと思います。お互いの国の良さをしっかり作っていけば、お互いに評価されます。あるとき、僕が知らない日本人監督の作品もよく見ていらっしゃるスンリョンさんからお気に入りの日本映画の感想を言われました。「韓国では思いつかない」と仰っていましたが、まさにそれだと思いました。今はどうしても韓国がリードしているような世界的ムードがありますが、韓国の方だって欧米や日本に憧れるところももちろんあります。

「涙が枯れるほど泣いた…」号泣“めちゃくちゃ泣ける”韓国史劇8選
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加賀谷健

コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションで...

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