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東京国際映画祭にて世界の是枝裕和監督、台湾の至宝チァン・チェンの対談イベントを取材!

そもそも是枝監督が監督を目指すきっかけは台湾映画だったのです。
「父親が台湾生まれなので、1980年代にホウ・シャオシェン監督に出合った経験が大きく、彼の映画には父が語っていた原風景が色濃く出ていた。そういう個人的なシンパシーに併せて、映画としての素晴らしさ。当時映画監督になる道筋も見えなかった頃『恋々風塵』(86)を見たことが、映画監督を目指すきっかけです。さらに、エドワード・ヤンの影響も非常に大きく、もしふたりの存在がなければ映画監督にはなっていなかったかもしれません」
それだけに、大好きな台湾映画への想いが深く、アジアの最高傑作のひとつとして再評価が高まっているヤン監督の『古嶺街少年殺人事件』、ホウ・シャオシェン監督の『百年恋人』の魅力を熱く語りました。

TOKYO, JAPAN - NOVEMBER 01: Director Hirokazu Kore-eda attends the Asia Lounge Chang Chen and Hirokazu Kore-eda Talk Series during the Tokyo International Film Festival 2021 at Tokyo Midtown Hibiya on November 1, 2021 in Tokyo, Japan. (Photo by Jun Sato/WireImage)

◇チャン・チェンが語る中華圏3大監督の手法

是枝監督に問われ、チャン・チェンはこれまで一緒に仕事をした3人の監督エドワード・ヤン、ウォン・カーワァイ、ホウ・シャオシェンの現場のエピソードを話してくれました。

チェンが14歳でデビューした『古嶺街少年殺人事件』(91)を手掛けたエドワード・ヤン監督の撮影では「よく怒られた」そうで、
「ビリヤード場のシーンで、私ひとりだけが小屋に呼ばれて、“演技に気持が入ってない。反省しろ!”と怒鳴られました。当時はなぜ怒られたのか分からなかったのですが、子供にこういう演技をしろといってもわかるものではない。今、大人になってわかるのですが、言葉ではなくリアルな反応が欲しかったのだと思います」と当時を振り返ります。

97年にはトニー・レオンとレスリー・チェン主演の『ブエノスアイレス』でウォン・カーワァイ監督作に初出演。

「ロケ地のアルゼンチン入りした初日、監督からまずCDを聴いてくれと渡され、役のイメージを聞きました。こんな形で自分が演じるキャラクターを作ってほしいと言われたのは初めての経験。ヤン監督の場合、まず脚本を渡されて、そのセリフは変えてはいけない。セリフのひとつひとつに意味があり、それを俳優が理解するというやり方です。一方、ウォン監督は自分で想像して方向を決めてキャラクターを作っていく。セリフを自由に変えていくことなど、慣れない現場でしたが、自由で面白かった。予想のつかない効果を期待できる撮影でした。監督は役者をよく見ており、待たせることもないし不必要なことはさせない。安心して任せられました」

と、両監督の真逆の手法の違いを語ってくれました。

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村上淳子 Atsuko Murakami

海外ドラマ評論家/映画ジャーナリスト  「ニュースよりドラマを観るほうがその国が...

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