K-board
急上昇

最新作ドラマも好調のアン・ボヒョン35歳。初主演『軍検事ドーベルマン』で、“再発見”から“限界突破”へ

暫定の特異ポイントとして観測

 いや、でも待てよ。基本無表情を自らに課せているかのようにとらえどころがないパク・ソジュンより、むしろアン・ボヒョンの方がひょっとしたらとらえどころがない俳優かもしれない。中卒であることがどこまでも影響して結局どこにも採用されないアン・ボヒョン演じるド・ベマンだったが、大胆不敵な彼に目をつけた有名弁護士ムン・ヨング(キム・ヨンミン)の策略によって、軍の検事になる。5年の契約期限付きで、ムンの右腕となって策を巡らす手腕は見立て通り、ピカイチ。銀行頭取の息子を罠にはめたド・ベマンが、取り調べをする場面。

 敵を油断させるためには口角をゆるませて人が良さそうにしていたド・ベマンだったが一転、取り調べ室では冷淡そのものの表情を崩さない。表情といっても、豊かさとはほど遠い、まるで能面のような無表情に近い。一見、無表情だけれど、よくよく見ると、顔の左右を非対称にし、若干硬直させながら、歪ませているようにも見える。もう少しで薄ら笑いになるかという感じ。笑いの寸止め状態が顔にはりついたような。単に強張ってるだけのような。どういう感情なのか、全然わからない。見る者を混乱させ、ゾクッとさせる。怖い。でも、魅力的。この表情を見て、アン・ボヒョンのことを鉄壁の鉄面俳優と名付けたくなる。

 軍務中は折り目正しい軍服姿だが、ムン・ヨングの弁護士事務所を訪ねるときには、びしっとスーツに身を包む。こうも完璧な着こなしのギャップは反則じゃないか。そんなことを思っていると、第2話で新任の検事チャ・ウイン(チョ・ボア)が、何人ものクズ男相手に単身で、『イコライザー2』(2018年)のデンゼル・ワシントンばりの世直しを繰り広げる。なんだかこの展開、慌ただしい。チャ・ウインからの除隊プレゼントをもらって、やや翻弄されるラブコメ的な展開もややこしいけど、ド・ベマンのほがらかな表情を垣間見る点では絶好の機会。あるいは、第3話で、悪の化身ノ・テナム(キム・ウソク)と対面したあと、ムン・ヨングとエレベーターに乗るド・ベマンが、再び能面的な底冷えの表情に戻る。一連の表情の変化をアン・ボヒョンの俳優としての最大の武器、最大の特徴とすべきなんだろうけれど、ひとまずは暫定の特異ポイントとして観測しておきたい。この人の真の魅力をとらえるためには、どうもまだまだ観測すべきことが多い気がするのだ。

あわせて読みたい

【4月に日本初配信の韓国ドラマ】新神マクチャンドラマ『復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~』ほか最新作

こんな記事も読まれています

Commentコメント

コメントしてポイントGET!

コメントがまだありません。推し俳優や推し作品について語りましょう!!

この記事の画像  1枚

Writer info

加賀谷健

コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションで...

more

Recommend関連記事

この記事について報告する

Popular人気記事&コンテンツ

Weekly Vote今週の対決

投票する

Pollアンケート

あなたの好きな恋愛ドラマは?

あなたの好きな恋愛ドラマは?
星から来たあなた
コーヒープリンス1号店
よくおごってくれる綺麗なお姉さん
太陽の末裔
美男ですね
マイ・プリンセス
青い海の伝説
ドクターズ~恋する気持ち
麗~花萌ゆる8人の皇子たち
ヒーラー〜最高の恋人〜
私の名前はキム・サムスン
運命のように君を愛してる
宮 −クン− 〜Love in Palace〜
キルミー・ヒールミー
相続者たち
ピノキオ
彼女はキレイだった
シークレット・ガーデン
トッケビ~君がくれた愛しい日々~
アンケートに答える

Official SNS公式SNS

PR Storyいま読みたい記事

BS無料放送ならBS12 トゥエルビ

Popular Tags人気のタグ

韓国ドラマ ラブロマンス 中国ドラマ 韓流 俳優 おすすめ 女優 時代劇 トレンド 恋愛

Pick Upピックアップ