これは不思議な感覚なのだけれど、『挑戦者・山下智久』を見ていると実は嘘なのではないかと思ってしまう瞬間がある。嘘と言うのは、作品の内容がフェイクだとかそういうことではなくて、ぼくが今このドキュメンタリー内の山下智久を見ているという現実そのものを疑いたくなる気持ちのことだ。「まさかこんな素敵な山Pを見られるなんて!」が半分、それから「まさかだけど、こんな素敵な山Pを見ていいの? あまりにもぜいたくじゃない?」が半分。
そういう複雑な嬉しさに満ちた半々が、おそらくこのドキュメンタリーの本質ではないかと思う。だって山Pが、あんなに純粋に韓国料理を味わい、新鮮なタコと戯れる様子を見られただけでありがたいんだもの。ぼくらが求めていることをわかっているから、それに応えた山Pが韓国から日本に向けて恩返しをするようにさえ見える。実際、カメラの前の彼は何度も恩返しという言葉を発していたではないか。
強いて言えばそうだなぁ、すべてのsweetie(山Pファンのこと)にとっての“ドキュメンタリー人間”とでも名付けようか。韓国編のラスト、挑戦者にして、ドキュメンタリー人間・山下智久はかく語りき。彼のリアルな声に何度でも耳を傾けていたいと思ったらば、そうだ2024年新年早々(1月3日)に主演ドラマ『正直不動産』(NHK総合)のスペシャルが放送されるではないか。同作では正直(真実)と嘘の狭間を生きる主人公を演じる。なるほど、これもやっぱり嘘から出た誠を捉える意味では、ドキュメンタリー人間・山下智久らしい作品ではないか!
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