K-board

ナム・ジョヒョクが兵役前最後に主演。『ヴィジランテ』で圧倒する揺るぎないヒーロー姿を激推し解説!

■ 理想的なアンチ・ヒーローの姿

 Disney+(ディズニープラス)で配信中の韓国ドラマ『ヴィジランテ』は、ヴィジランテ作品の新たな金字塔ではないかと思う。真の正義はないのか。だとするなら、自分がやるしかない。ドラマ『スタートアップ:夢の扉』(2021年)や『二十五、二十一』(2022年)などのナム・ジュヒョク扮する主人公キム・ジヨンは、法の下の正義に疑問を感じながら、法外で復讐を遂げる。第1話冒頭から、いきなり激しいアクションで、憎い相手を徹底的に打ちのめす。夜の冷たい外気。怪しげな薄闇の路地。恰好の舞台をそろえ、演出を施すロングショットが冒頭から深く印象に残る。

 フードをかぶるジヨンの表情は陰鬱としていながら、目だけが妖しく光る。怪物的な怪力。ただ者ではない。これこそ、ぼくらが求めている理想的なアンチヒーローの姿ではないか。アンチヒーローの元祖と言えばクリント・イーストウッドがスターダムにのし上がる『荒野の用心棒』(1964年)で演じた孤高のガンマン役をすぐに思い出す。1971年の出世作『ダーティハリー』では、まさに法外の方法で犯人を追い詰め、打ちのめす狂乱の刑事ハリー・キャラハンを誕生させた。イーストウッド=キャラハンを決定づけた同作こそ、ヴィジランテ映画の草分け的作品だ。

 イーストウッドが演じるキャラクターを特徴づける、あの冷たく鋭い眼差しを『ヴィジランテ』のジヨンにも見出したのは気のせいではないだろう。いや、凍てつくヴェンジェンス(復讐)に燃えるアヴェンジャー(復讐者)にしてヴィジランテであるジヨンは、キャラハン刑事よりももっとダークで、闇が深い。本作が新たな金字塔と呼べる理由は、イーストウッドから続くオーセンティックなヴィジランテ作品の系譜を守りながら、それを上回るキム・ジヨンのより一層強烈なキャラクター性によるのだ。

【BS12 トゥエルビで日本初放送】中国ドラマ『ロマンスは椿の花のように』あらすじ&見どころ解説!
次のページ : ナム・ジュヒョクが兵役前最後に主演する作品

こんな記事も読まれています

Commentコメント

コメントしてポイントGET!

コメントがまだありません。推し俳優や推し作品について語りましょう!!

この記事の画像  2枚

Writer info

加賀谷健

コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションで...

more

Recommend関連記事

この記事について報告する

Popular人気記事&コンテンツ

Weekly Vote今週の対決

投票する

Pollアンケート

あなたの好きな恋愛ドラマは?

あなたの好きな恋愛ドラマは?
星から来たあなた
コーヒープリンス1号店
よくおごってくれる綺麗なお姉さん
太陽の末裔
美男ですね
マイ・プリンセス
青い海の伝説
ドクターズ~恋する気持ち
麗~花萌ゆる8人の皇子たち
ヒーラー〜最高の恋人〜
私の名前はキム・サムスン
運命のように君を愛してる
宮 −クン− 〜Love in Palace〜
キルミー・ヒールミー
相続者たち
ピノキオ
彼女はキレイだった
シークレット・ガーデン
トッケビ~君がくれた愛しい日々~
アンケートに答える

Official SNS公式SNS

PR Storyいま読みたい記事

BS無料放送ならBS12 トゥエルビ

Popular Tags人気のタグ

韓国ドラマ 韓流 ラブロマンス 俳優 おすすめ 女優 中国ドラマ 時代劇 2020 K-POP

Pick Upピックアップ