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BTSテテ「FRI(END)S」は2倍も3倍も楽しめる“お得な” ニューシングルだ!

リズムとテンポの違いで2倍も3倍も楽しめるシングル

「FRI(END)S」を一聴して感じるのは、バックトラックの心地よさだ。ボーカルとともにトラック全体がハネているのは、8分の6拍子によるリズム感によるもの。いわゆる6/8のリズムは、現行R&Bのトレンド。もはやあれもこれもかというくらい多くの楽曲のリズムとして採用されている。R&Bリスナーのツボをしっかり押さえてくるあたり、チャートアクションは勘定に入れないにしろ、そろそろグラミー賞で最優秀R&Bソング賞1冠くらいはあってもいいんじゃないか。テテや「Standing Next to You」でアッシャーまで招聘したジョングクが未だにノミニーにすらならないのは絶対におかしいと直訴してやりたい。

 それはさておき、6/8のリズムによる「FRI(END)S」は、テンポの違いでも色々楽しませてくれる。R&Bシンガーの新譜には最近必ずテンポアップしたスペッドアップバージョンが収録されるものだが、同作でも3曲目にちゃんと入っている。キュルキュル早回しボイスでも聴かせてくれるテテってほんと。その逆のスローダウンバージョンもある。こっちはこっちでより低音になったテテのスローボイスを楽しめる。シングルでありながら、2倍も3倍も楽しめる“お得な”工夫がこらされている。わかってるんだよなぁ、テテは、どこまでも。

 さらにこれは単純な比較として、「Seven(feat.Latto)」や「Standing Next to You」のグクがよりポップス寄りなのに対して、テテはひと回りミニマムなスロージャムを心がけている。グクによるアッシャー招聘には、マイケル・ジャクソンから続く第3のキング・オブ・ポップとして王位継承する雄大さがあるのに対して、テテはゆるやかな連帯みたいな感じでネオソウル仲間のUMIなど、ヴァイブスが合う人と音楽を共作することを心から楽しんでいるように見える。それは「Slow Dancing」のミュージックビデオのゆったりくつろぐような雰囲気からも明らかだったし、今回の「FRI(END)S」でもパーソナルな心の世界をのぞかせることに余念がない。

2024年3月に日本初配信の韓国ドラマ&映画/キム・スヒョン×キム・ジウォン『涙の女王』ほか最新作を紹介
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加賀谷健

コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションで...

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