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横浜流星「ソウルドラマアワード」受賞ドラマ『あな番』第14話 浮き彫りになる等身大の二階堂

■第14話、「サスペンス×ラブロマンス」の展開力

(C)NTV

ミステリアスで、アクティブなだけではない。本来恋愛キャラではないにも関わらず、恋愛の方向へポジティブに向いていくキャラクター要素もまた特筆すべきだ。極度の潔癖症から他人の匂いが気になって仕方がない二階堂は、なぜか沙和の匂いにだけ拒否反応を示さないことから、それが実は遺伝子レベルでの恋を予感していることが分かる。そうしたロマンスがさらなる事件の発端となることは言うまでもない。『反撃編』第14 話では、二階堂のキャラクター性がうまく駆動することで、サスペンスとラブロマンスが見事に調和しながら、ドラマを展開させていく。

二階堂と沙和のロマンスが次第に不穏な雰囲気を漂わせるのは、翔太と二階堂のブロマンス的関係性に沙和の存在が加わることで形成される三角関係以上に、もともと翔太に好意を寄せていた尾野(奈緒)の恋の矢印が完全に二階堂の方へ向きが変わることで、また新たな三角関係が形成されることだ。尾野が形成する不安定な三角関係では沙和は邪魔者でしかない。そんな彼女を消し去る舞台となるのが、夏祭りだ。住民たちの屋台の出し物が尾野考案のオーガニック食品であるところがまた不気味である。この夏祭りは、いかにも事件が起こりそうな雰囲気である。守るべき女性が出来た男は途端に弱くなるもので、二階堂も例にもれず、 思考を鈍らせる。榎本夫婦の一人息子・総一(荒木飛羽) の犯行をドラマの中軸に、二階堂たちのロマンスやら、翔太の直感的推理が絶妙にサスペンスフルな雰囲気を駆り立て入り交じりながら、やはりラブロマンスにはひとつの終止符が打たれる。いくら明晰な能力者であっても、運命の糸がほつれてしまっては太刀打ち出来ない。第14話は、そうした二階堂の等身大の姿が浮き彫りになった重要な回となった。

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加賀谷健

コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションで...

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