監督によると、タイトルについてはシナリオでは『待つ心』、撮影中は『涙ポロポロ』、編集の間は『涙が出ない』と考えていたそうですが、自分が作った映画と距離をとって向き合えるようになったとき、「チャンシルは本当に福が多いわね･･･」と独り言が不意を突いて出てきたのだとか。
チャンシルにとって世間的な幸せは“福”ではなく、映画への愛、慕ってくれる人たち、失恋したあとも良き友人でいられること、ほのぼのした日常があることが“福”なのです。
それは映画を観た私達にもいえること。
香港の俳優イーキン・チェンにインタビューしたとき、「いちばん幸せを感じるときは？」と聞いたら、「僕はいつも幸せだよ。“知足常楽”（足るを知ると常に楽しい）」という言葉が返ってきたことを本作を観て思い出しました。
お菓子でいえばマカロンではなく、美味しいアンが詰まった回転焼きのような作品なのです。
『チャンシルさんには福が多いね』は2021年1月8日（金）よりヒューマントラストシネマ渋谷・ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開。
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