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カンヌ国際映画祭からアカデミー賞まで、“世界のポン・ジュノ”誕生までの軌跡!!

カンヌ国際映画祭からアカデミー賞まで、“世界のポン・ジュノ”誕生までの軌跡!!

カンヌ国際映画祭の常連だったポン・ジュノ監督

ポン・ジュノ監督にとってカンヌ国際映画祭という舞台は、『グエムル-漢江の怪物-』(監督週間)、『TOKYO!』(ある視点部門)、『母なる証明』(ある視点部門)、『オクジャ/okja』(コンペティション部門)に続き5度目の上映だった。第72回を迎えた2019年、『パラサイト 半地下の家族』をひっさげカンヌ国際映画祭コンペティション部門に挑んだポン・ジュノ監督は、審査員満場一致で最高賞=パルムドールを獲得。「ローカルな映画でありながら非常に国際的。観た後もどんどん自分たちの中で育っていく」と審査員長も大絶賛。世界映画祭の歴史において韓国映画の快挙はこうして始まったのである。

ちなみに、同映画祭でパルムドールに輝いた日本映画は、是枝裕和監督『万引き家族』(18年受賞)、今村昌平監督『うなぎ』(97年受賞)、今村昌平監督『楢山節考』(83年)、黒澤明監督『影武者』(80年)、衣笠貞之助監督『地獄門』(54年)の5作品。

全米3館からアカデミー賞の頂点へ──!!

19年10月にわずか3館限定でスタートしたアメリカ公開は、最終的には全米2,000スクリーン規模まで拡大し、「外国映画興収第1位」を記録。
アカデミー賞の前哨戦と呼ばれるゴールデングローブ賞 外国語映画賞の受賞スピーチ時のポン・ジュノ監督は「字幕というバリアを乗り越えれば、もっと素晴らしい映画に出会える」つまり「言葉の壁など我々は克服することができるんだ、映画というツールで」と自身の信念を世界に伝えた。

アカデミー賞に至っては、何から何まで「韓国映画初」という枕詞が付いてまわった。韓国映画がアカデミー賞にノミネートされること自体が初なのに、多くの競合作品を制して最多4部門「作品賞」「監督賞」「脚本賞」「国際長編映画賞(旧称 外国語映画賞)」を獲得。
アジア人のポン・ジュノが学生時代に勝手に字幕を付けて、勝手に英語を学んでいたという映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』『ジャングル・フィーバー』など人種差別を描いてきたスパイク・リー監督から「最優秀監督賞」のオスカー像を手渡されるという瞬間には「白人優先といわれてきたアカデミー賞の歴史が、ついに変わった!!」と涙した人も多かった。(もちろん私もです)

とことんオリジナリティにこだわる韓国映画魂

ド派手なアクション超大作や人気俳優がスパーヒーローに扮するシリーズものなど、誰が見ても分かりやすい娯楽作を主流とするのがアメリカ映画。TVドラマ、人気コミック、ベストセラー小説をもとに一定の集客が見込める土壌があるなかで映画化し、ドラマのスピンオフ感覚や原作の世界観を楽しみにくるのが日本映画。
(あくまで個人の見解です)

韓国映画は、監督や脚本家が自らが書き上げた「オリジナルストーリー」が重視される傾向にある。アカデミー賞授賞式のスピーチでは「もっともパーソナルなものが、もっともクリエイティブなのです』と巨匠マーティン・スコセッシ監督の言葉を引用した。なので韓国ではTVドラマの映画化はほぼありえない。(かつて日本で、アイドル主演の韓国ドラマを勝手に編集して日本公開した「劇場版」「劇場編集版」という類はドラマの“映画化”ではありません)
原作小説を映画化したとしても、独自のアイデアで大胆にアレンジするのは当たり前。例えば日本の東野圭吾原作「容疑者Xの献身」が韓国で映画化(邦題「容疑者X 天才数学者のアリバイ」)された際、天才物理学者・湯川と警視庁捜査一課・草薙というメインキャラクターの二人が大胆にも一人にまとめられていた。伊坂幸太郎原作「ゴールデンスランバー」は、ほぼ原作通りの日本版映画に対し、韓国版ではアクション大増量でラストの展開も全く異なる仕上がりになっていた。

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「金のスプーン」「泥のスプーン」とは?

韓国映画でよく題材にあげられるのは、格差社会、権力との戦い、南北朝鮮など身近な問題が多く、それゆえ誰もが共感しやすいという特徴がある。
『パラサイト 半地下の家族』の主人公は、事業に失敗した父と母、大学受験に失敗した長男と長女。つまり家族4人全員無職。彼らの人生には「貧富の差」「高学歴主義」「特権階級」「高い失業率」」など万国共通の“庶民の不平不満”が充満している。やがて、豪邸に暮らす金持ちの家に「家庭教師」「美術講師」「家政婦」「運転手」として次々潜入したところからその生活は激変。金持ち一家の信用を手に入れ、一家が不在の間はその豪邸を無断で好き勝手に使用し、束の間の金持ち気分を味わうのだ。
こうした格差社会の背景は韓国では「金のスプーン」と「泥のスプーン」に例えられ、「金のスプーン」をくわえて金持ちの家に生まれた子はすでに成功したも同然であり、「泥のスプーン」をくわえた貧困層はどんなに頑張っても這い上がれないといわれている。
どうしようもない憤りを起点とし、想像を絶する展開の先に、また想像を超える展開が待っているという無限のループ。1秒先の展開が待ち遠しいエンターテインメントとして飽きることなく魅せるパワーに世界は惹きつけられた。

世界のエンターテインメント業界を席巻するパワー

韓国エンターテインメントは、トレンドキャッチ力に優れ、世界に向けた発信力も高い。実際、全米週間アルバムチャートでアジア人初1位を樹立したK-POPグループBTS(防弾少年団)に代表されるように、インターナショナルなマーケットに受け入れられやすい世界的なトレンドと化している。
映画産業も同じく、『パラサイト 半地下の家族』のカンヌ国際映画祭やアカデミー賞受賞を機に今後も世界の映画史を大きく塗り替えていくことだろう。

【4月に日本初配信の韓国ドラマ】新神マクチャンドラマ『復讐の渦~因縁の父娘(おやこ)~』ほか最新作

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MiwaYasu

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