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韓国映画『ただ君だけ』リメイクの『君の瞳が問いかけている』が伝える“ストレート”な感動

■ボクシング映画のストレートな感動

(C)2020「きみの瞳が問いかけている」製作委員会

本作は、喜劇王チャールズ・チャップリンの『街の灯』をモティーフとした韓国映画『ただ君だけ』の日本版リメイク作品である。チャップリンの作品からは大分テイストが変わってきているが、ボクシングの精神は確かに受け継がれているように思う。ボクサーにとって階段は特別な場所である。それはシルヴェスター・スタローン主演の名作『ロッキー』(1976)で登場するあのフィラデルフィア美術館の正面階段によって映画史に克明に刻まれたものだ。それからというもの、『チャンプ』(1979)、『レイジングブル』(1980)や『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)など多くの巨匠監督たちによってボクシング映画が製作されてきた。ハリウッドでは金にならないと言われたボクシング映画がなぜこれほどまでに作り手を魅了するのだろうか。

ひとつにボクシング映画は、主人公が抱える鬱屈した感情をストレートに描きやすい点にある。例えば『ロッキー』は、製作当時現実に売れない俳優だったスタローンの熱い闘士が自ら執筆した脚本を超えてキャラクターに入魂されているほどで、社会の底辺にいる現実生活での過酷さを拳に込めて吹き飛ばしていく爽快さが映画の恰好の題材となったのだ。ロバート・デ・ニーロが伝説的なチャンピオンを怪演した『レイジングブル』ではまさにその表現性の極致をみることが出来る。ひとりの落ちこぼれが拳ひとつで成り上がる様子はヒーロー映画さながらである。そしてそうした現実の過酷さに抗おうとするキャラクターたちの奮闘する姿が観客の胸を打つ。『君の瞳が問いかけている』で横浜流星が演じた塁というキャラクターもまた、くたびれ果てた現在に大きな葛藤を抱えながら、愛する人のためにもう一度リングに舞い戻ろうとするボクサーの宿命的存在として映る。どんな困難にも負けずに、捨て身の覚悟で運命を切り開いて行こうとする勇姿は、これまでのボクシング映画の系譜に大きなストレートを込めているのだ。

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加賀谷健

コラムニスト・音楽企画プロデューサー。クラシック音楽を専門とするプロダクションで...

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