王妃の一族に実権を握られた朝鮮王朝。王の訃報を聞いた世子のチャンは、王妃一族により謀反の罪を着せられる。一方、市中では謎の疫病が蔓延し、治療にあたっていた女医のソビは驚愕の光景を目にする。やがて、ソビと出会ったチャン世子は、死者が夜になると蘇って人間を襲い、襲われた人間も次々と感染していくという現象を知らされる。役所もゾンビに占拠され、逃げ場を失ったチャン世子は、ソビのいた診療所に逃げ込むが、そこに王妃一派の追っ手がかかる。昼は人間、夜は死者に襲われながら、チャン世子とソビは、ゾンビのいない安全な場所を求めて逃避行を続ける。
『キングダム』といえば、日本では中国の秦始皇帝時代を描いた同名コミックのほうがはるかに有名だが、基本男は時代劇が好き！ 韓国ドラマでも時代劇だけは男性視聴者が少なくなかった。ただ、韓流初心者にとって韓国時代劇はハードルが高い。そもそも歴史的背景がわからない。
しかし、本作にそんな心配はまったくない。朝鮮時代の服を着たゾンビが暴れまわるという時代考証無視の痛快ゾンビ時代劇。現代のような銃や車もなく、弓矢と刀と馬で立ち向かわなければならないという、よりスリリングな状況が恐ろしく、人間の知恵と連帯が試されるのだ。
主演の世子（王子）を演じるチュ・ジフンは、『宮 -Love in Palace-』でブレイクしたイケメン俳優だが、男性目線で注目はやはりペ・ドゥナ。日本映画、ハリウッド映画にも進出して男性ファンを虜にした個性派女優が、いち早くゾンビ化する疫病の存在に気づく医女を演じる。
200億ウォンの制作費をNetflixが全額負担した初のオリジナルドラマ。『愛の不時着』を見たらそのまま移行出来る気軽さもある。第2シーズンまで作られ、さらに第3シーズンの放送も待たれる傑作時代劇。
数学が苦手な女子高生のダンビは、大学入試の試験当日逃げ出し、公園の水たまりに引き込まれてしまう。そして水面から上がると、そこはなぜか朝鮮時代。日照り続きで困窮する民のため、名君として名高い４代世宗が、雨乞いの儀式をしている真っ最中だった。捕らえられたダンヒは、現代では当たり前の数学問題を軽々と解いたことで、勉強熱心な世宗に数学を教えることになる。現代の知識で斬新な発明を次々にしていくダンビに心酔する世宗。やがて２人は王と臣下という関係を超えた絆で結ばれていく。
韓国時代劇のハードルが高くなっている最大の壁が話数の長さ。50話以上は当たり前で、100話以上のドラマもある。現代ドラマの16話すら長く感じる短気な男性にはなかなか手が出せない。しかし、このドラマはたったの２話！ 圧倒的にハードルが低いにも関わらず、タイムスリップ、男装女子、ロマンス、史実とのリンクなど、韓国時代劇のおもしろ要素がすべてつまっている。
K-POPアイドルグループBEAST（現在はHIGHLIGHT）のユン・ドゥジュンと、『ああ、私の幽霊さま』などの個性派女優キム・スルギが主演。嫉妬深い王妃を演じるチン・ギジュもクールビューティーだ。
逆『天気の子』ともいえるほど雨が効果的で、2015 Asian Television Awardsで、短編ドラマ部門・最優秀賞を受賞。コメディとシリアスのバランスが最高で、あっという間に終わってしまうところが飢餓感をあおる。
世宗のことをもっと知りたくなるかも知れないし、ラブコメ時代劇の沼にハマっていくかも知れないが、とにかくもっと時代劇が欲しくなる。どうせ２話で終わるのだから、ラブロマンスなんてとバカにせず、騙されたと思って見ていただきたい。
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